【野球】中学時代から慢性的な腰痛に悩む高校野球児の一例
『当院での対応』
高校生 男性 野球部 投手 中学時代に腰部すべり症
[所見]高校生になり環境が変わり練習頻度は増え、腰痛に悩むようになった。走りのメニューやウエイト、バッティング練習にて腰に負担を感じることが多い。大腿四頭筋、殿筋、腰部筋群に筋緊張がみられ各関節の可動域制限もみられた。特に反り腰が目立つ姿勢で、股関節周りの治療に加え、反り腰に対するエクササイズも必要と判断した。
[施術]鍼灸、低周波療法にて各筋肉へのアプローチを行う。腰部に対して腰痛体操、体幹トレーニングにて反り腰改善の意識を感じてもらう。施術回数を重ねるごとに状態は良くなり、痛みなくプレーできるまでに回復した。
[セルフ]股関節から下肢の基本的なストレッチを覚えてもらい、毎日、練習後と寝る前ににやるように指導。腰部トレーニングも同じように。
※練習をしながらの治療となると症状の改善に時間がかかることが多いのですが、セルフメンテナンスにしっかりと取り組んでいただいたこと、痛みや疲労度合いによって、ご自身で判断されて治療の予約を取られていたことが早期に状態が良くなった要因だと考えられました。
『腰痛の原因について』
野球で腰痛の原因となるのは、体幹を回転させる動作が多いことや、投げる打つ走るなどの動作に共通する捻る動作、不良なフォームによる無理な可動域での動作などです。また、成長期などで体が出来上がっていない時期に同じ動作を反復することは腰痛の要因になります。
『腰痛対するテーピング・サポーターについて』
腰痛のテーピングは脊柱起立筋などに対して伸縮性のあるテーピングを行うことがあります。またサポーターとしてはコルセットが有名ですが、腹斜筋などのいくつかの腹筋群の筋力低下が起こるため、一時的な利用にとどめてもらいたいです。サポーターもテーピングも、つけてみてどちらも楽になるようでしたら、筋力不足やバランスの状態が悪いことが考えられます。痛みの部位をしかっりと治療して、弱くなった部分を強くする、体の使い方を学びなおす作業を丁寧に行えると、腰痛は徐々に良くなっていくと期待されます。
『野球選手に見られる腰の病名・診断名とは?』
腰痛に関わる診断名としては、腰椎分離症、腰椎疲労骨折、腰椎すべり症、脊椎間ヘルニアなどがあります。腰椎分離症や腰椎疲労骨折は繰り返し腰椎にストレスがかかることで起こります。すべり症やヘルニアは、腰を捻ったり、体の片側だけで負担のかかるような運動を繰り返すことで悪化や再発する可能性があります。
『セルフケアについて』
野球における腰痛のセルフケアには、アイシングやストレッチ、体の使い方の改善などがあります。ズキズキと痛みがある急性期の時には、無理をせず安静にして腰に負担がかからない世にすることが基本となります。痛み止めの服用やアイシングで痛みを誤魔化す方もいます。痛みに改善傾向が出てきたらできる範囲で動くことも大切です。安静にしすぎることで、筋力の低下を招く可能性もあるので、痛みを感じない程度には動かすころをおすすめします。痛みの変化がなく1-2週間続く場合は、整形外科へ受診される方も多いです。ストレッチは腰部の筋肉を中心に、股関節周りや、足全体的に行う必要があります。腰痛の種類によって、また個々の柔軟性や体の特徴によっても異なるので、安易にYouTubeなどで出てきた動画通りに行うのは、一概には言えませんがおすすめはしていません。鍼灸師を含めた、専門家によるセルフストレッチのアドバイスを受けるのが賢明です。
『学生野球特有の腰痛とは?』
学生野球では、今なお、ケガを隠してプレーする風潮があります。チームによってはケガをしないためにできることをよく考え練習や環境整備に力を入れていることはありますが、現状多くはそうはいかないそうです。ですので痛みが津様なりプレーが出来なくなると病院に受診し、診断名が付くことがあります。腰痛を我慢し続けると、重度の腰痛になってしまうので、違和感を感じたら周囲の大人に相談できるような環境が理想的です。もちろん鍼灸院を含めた医療機関への相談は早いほうが良いです。体は痛みを通して危険信号を知らせてくれます。痛みが出ている時点で、体のいたるところにひずみが起こっている可能性があります。また、腰痛を予防する知識の習得も非常に重要なことで、長い目で見て自分の体を理解しコントロールするためには腰痛ともしっかり向き合っていただくことが大事です。
この記事へのコメントはありません。